東京木材問屋協同組合


文苑 随想

時代を見つめて No.47


東証2004年 大納会、建設株を考える

時見 青風



 2004年最後の取引となる大納会を迎えた30日の東京株式市場は,減速気味の景気回復テンポが新春にも再び勢いを取り戻すとの期待感から買いが先行,日経平均株価は前日比107円20銭高の1万1488円76銭と100円以上反発して取引を終えた。およそ5ヵ月半ぶりの高値水準で,市場は明るいムードを残して年明けの取引を迎えることになる。
 前年の終値を上回ったのは2年連続。平成5〜7年にかけて3年連続の上昇以来の連続上昇となった。
 15年の取引最終日の終値と比較した騰落率は7.6%の上昇だが,騰落率としては2.55%下降した8年以来の小さい変動幅だった。
 東証一部の全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は10.22ポイント高の1149.63。東証一部の株式時価総額は,昨年末に比べ44兆2千6百82億円多い,3百53兆5千5百82億円だった。
 東証の年間株式売買代金は1部,2部,マザーズの3市場合計で3百43兆千2百億円に達し,過去最高。年間売買高(同)も3千7百87億株と2年連続で過去最高を更新した。
 自動車,電機など幅広い企業で収益が改善したことや,欧米企業株に比べて相対的な安値感があることを背景に,外国人投資家の買いが強く,株式相場全体を牽引した格好。外国人の買い越し額は昨年にはほぼ匹敵する約8兆円と高い水準が継続したもようだ。
 また,インターネット取引の普及で個人投資家の拡大も相場を支えた。株式売買代金に占める個人の割合は13年ぶりに3割に達し,外国人投資家(同約5割)とともに上げ相場を形成した。

 以上は平成16年12月31日(金)産経新聞の朝刊で30日の納会の記事を記したものである。この評価を見る限りかなり良くなっているように見えるのだが。

 私は株についても素人であり,もちろん詳しくは分からないが,過去4年程,大納会のゼネコンについて記してきたので,私なりのゼネコン株についての意見を記して見た。
 新聞が報道等により記事から拾ったもので的確かどうかは,分からないが。

 昨年の大きな課題として,UFJグループと三菱東京フィナンシャル・グループが経営統合すると言う事が大きな話題の1つとして上げられる,そして,UFJ銀行の抱えていた大口の融資先企業に注目が集まった。そして「双日」や「大京」,「ダイエー」などの最終処理など加速したように見える。そして,このような大きな流れも加わり,上場企業の倒産は,16年11月までで12件にとどまったと言う。前年同期と比較すると7件ほど下回ったとのことである。上場企業倒産では,負債額が1000億円を超えるような超大型倒産は発生していない。
 建設業界でも中堅の企業が中心だったので,混乱はあまり招いていないようだ。
 大型倒産については,大半がゴルフ場,不動産,リゾート関連企業であり,数年前からの問題案件ばかりという印象が強く感じる。
 上場建設業の倒産では,3月に発生し,民事再生法を申請した負債約766億円の「大木建設」,又4月に破産した負債約526億円の「環境建設」,又6月に民事再生法で負債約296億円の「佐藤秀」の3件が上場での倒産であった。
 取引はなかったが,「大木建設」はある意味では衝撃的な倒産だったと思う。中堅ゼネコンとして,それなりの実績もあり,手堅いゼネコンと言われていた,帝国バンク等も民事再生法の申請理由が未だよくわからないと記しているが,タイミング的,時期的に金融支援が得られなかったことが最大の理由にはまちがいない。
 準大手ゼネコンについて会社分割,債権放棄,統合,合併などの私的整理が進んでいるのが実情である。不良債権の象徴といわれてきたゼネコン業界だが,金融機関からの債権放棄によって金融債務は大きく減少しており,危機的な状況は緩和されてきた事は事実と思う。又経営再建中の準大手ゼネコン「熊谷組」と「飛鳥建設」は情報システム,人員合理化などの統合費用がかかり,統合効果が早期に反映しないとの理由で,17年4月に予定していた経営統合を解消してしまった。
 ゼネコン問題は,銀行にとって大きな問題ではなくなっているともいえるが,公共工事の削減など厳しい経営環境のなかで,自力再建するのは大変なことと想像する。
 又地場・地方ゼネコンの中にも,債権放棄など金融支援を受ける事例が増えたと言うが,全国的に見ると,多くの地場ゼネコンが再建の道は険しく,倒産予備軍といわれる地方ゼネコン,中堅ゼネコンの動向には引き続き注意が必要と帝国バンクも指摘している。

 2004年の上記に記した倒産上場会社のまとめ。

      負債(百万円)      
1. 3月 大木建設(株) 76,686 土木建築 民事再生法 東京大阪1部
2. 4月 環境建設(株) 52,669 土木建築 破産 東京2部
3. 6月 (株)佐藤秀 29,650 建築 民事再生法 東京店頭

下値のゼネコン14社
東証終値2004年12月30日(建設会社)
会 社 名
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年

飛鳥建設 157
96
22
22
47
不動建設 228
84
39
76
100以上
大末建設 116
83
27
44
40
三井住友 110
82
三井 29
42
60
住友 41 43 65
佐田建設 114
85
41
67
100以上
直柄建設 122
93
57
100以上
100以上
イチケン 242
97
48
77
100以上
東洋建設 99
77
42
61
100以上
日成ビルト 196
87
89
100以上
100以上
   
 
 
 
 
ハザマ 226
241
17
22
47
東急建設 257
530
54
59
100以上
オリ建設 535
458
長谷工 204
188
48
20
36
新井組 191
140
67
73
100以上

※ スーパーゼネコンの動き
株高の順(2004年12月30日)

会 社 名
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年

大林組 646
479
264
372
492
清水建設 514
408
297
444
338
鹿島 414
348
265
356
317
大成建設 399
392
189
284
229

※ 主な(注目)の銀行株

会 社 名
2004年
2003年
2002年

みずほHD 5160
3250
1110
東京三菱 10400
8360
6450
UFJ 6210
5150
1200
三井住友 7450
5710
3710
愛知 8430
6360
6240
札幌北洋 7700
5820
5400
池田 5450
5500
5400
清水 5300
5130
5200
武蔵野 4400
4200
3850
りそなHD 208
135
千葉 685
439

※ 銀行株を見ても分かるように年と共に値上りがよく分かる,特に大手銀は不良債権の整理が進み安定して来たことが株価にも現われているようである。

※ 評判の株

会 社 名
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年

NTT 4600
5170
4310
4270 8230
NTTドコモ 1890
2430
2190
15400 19700
JR東日本 5700
5050
5890
6330 6700
JR東海 8370
9260
7390 8480 7030
オービック 20350
21560
20650
26000 23590
任天堂 12780
10060
11050
22700 18250
OLC(デズニー) 7120
6610
7190
9010 7650
東宝 1619
1364
1139
14180
ベル24 27920
21900
23170
49000
日本テレビ 15390
15930
17700
27910

※ベル24は監理・整理にいって27920をつけ,吸収で名前はなくなるようである。
※情報・通信の部門は新らしい名前がどんどん加わり,高値をつけては,変化している。

 建設業界も上記に記したが平成16年には,中堅3社の倒産にとどまり大波はなかったように見えたが,16年8月に納材業界には大激震が発生した,1年ぐらい前から安売が始まり,とても同値で売れる価額ではなかったので,先行が心配されていた。長年業界の為に御尽力されたA社には大変気の毒と言う他はないが,先の中堅3社等にとどめの負債が発生したのではと想像している。
 これから建設業界の見通しはまだまだ安心は出来ないと思うが,銀行の安定化により,ゼネコンへの融資も優劣の格差がはっきりして来るかも知れない。
 16年の中後半,鋼材がかなり高騰し,契約済みの建築費にかなりの影響が出て,又々ゼネコンに相当の負担がかかり,中小に倒産までも考えられる話も出て来た。
 又インドネシア沖の地震・津波の影響は資材の高騰等我々業界にもどんな方向でかかわりが出て来るのか想像は出来ないが,死者数を見ても大変な事になって来た事は事実である。

平成17年1月3日記



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