東京木材問屋協同組合


文苑 随想


『歴史探訪』(11)

江戸川木材工業株式会社
常務取締役 清水 太郎

 今,歴史ブーム,散策ブームである。書店に行けば,歴史,散策に関する本が大人気で,中でも江戸文化に関心が高い。
  関ヶ原の戦で,全国統一がなされ,大阪の陣で徳川政権が安泰となった。以後,明治維新まで250年以上も平和な時代が続き,江戸を中心に文化の花が咲き,その余韻が残っている街もまだある。
  企業戦士を卒業してかなり経った人達,専業主婦,子育てから解放された女性達が,大勢の仲間と連れだって行動する姿はほほえましい限りである。
  かつては,司馬遼太郎の街道ブーム,池波正太郎の鬼平犯科帳や切絵図を片手に下町を散策し,今では山本一力先生や,杉浦日向子さんが描く人情に触れるのもよい。
  かく云う私は,あるときから,安藤廣重が描く浮世絵や,十返舎一九の世界にのめり込み,画家の友人を誘って,徒歩で東海道中,翌年は中山道と,還暦までに五街道を踏破した経験がある。
  それがきっかけとなって,東海道ネットワークの会に入会し,多くの仲間にめぐり会うことが出来た。今でも交流が続いており,4代目秋庭隆会長の指導の下に,例会に参加し,活動をしている。
  最近,江戸文化歴史検定協会が設立され,第1回江戸文化歴史検定が11月3日に行なわれることを知人に教えられ,早速3級の検定に申し込みをした。
  公式テキスト大江戸見聞録を購入し,読み始めると,まるで自分が江戸時代にタイムトリップして,おのぼりさんとなり,江戸の町や,芝居を見物しているような気分となり,毎日の通勤で乗る地下鉄で,あっという間に読んでしまった。
  仕事で東北新幹線に乗れば,必らずトランヴェールという読み物が置いてあり,車中で居ながらにして,東北地方の歴史散策をすることができます。
  いよいよ検定の日,11月3日です。会場は青山学院大学,受験生は約五千人,老若男女の熱気で溢れている。こんなに歴史好きの人がいるとは。
  合格したからと云って,得るものはないが,不合格でも失うものはない。大学受験等はまわりが皆ライバルであるが,今日の検定は,まわり全員が仲間である。
  問題は4択で100問あり,7割くらいは直ちに答えが出せたが,あとの3割は迷いました。迷って考えている時間も結構楽しいものです。

 迷って考えた問題の例
  第36問
箱根に恒久的な関所ができたのは,元和5年(1619)のことで,その管理は小田原藩が行いました。江戸時代,関所破りは重罪でしたが,では関所破り未遂で捕まった人間に対して,小田原藩はどのように対処したでしょう?

(い)問答無用で死罪 (ろ)伊豆七島の新島へ流罪 
(は)道に迷ったことにして追放 (に)出発地へ強制送還

 たしか,お玉という女性が手形がなくて通してもらえずに,身を投げた池が“お玉が池”だということは箱根を歩いて知ったが,何とか助けてほしい,正解でなくてもよい,という願望で,(は)に丸をつけました。
  制限時間の90分は瞬く間に過ぎ,もし合格したら,次回は二級にチャレンジしようと思いながら会場を後にしました。
  出口でもらった正解一覧表を帰りのバスの中で見ますと,私の願いが通じたのか,第36問は正解でした。
  合格の場合は,11月20日頃,通知が郵送されますが,合否に拘わらず結果は後日お知らせします。




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