東京木材問屋協同組合


文苑 随想

時代を見つめて No.63

東証2007年(平成19年),大納会建設株を考える

時見 青風

 平成19年12月29日(土)各紙の株価報道によれば,昨年の株取引の最終日は日付の関係で28日(金)午前中で大納会となった。いつもなら,紙面第一面を大々的に飾るのだが,丁度,中国訪問中の福田総理の大きなニュースとパキスタンの首都イスラマバード近郊でのブット元首相暗殺事件等に隠れ,全く株価下落の淋しい内容の為などもあって第2?3面に少々載せた新聞が多かった。
 終値は前日比256円91銭安の1万5307円78銭で平成16年以来3年振りの低水準となった。平成19年の1月大発会の終値と比べると2000円以上の下落で,年末の株価が年初を下回るのは平成14年以来,5年振りの事だと言うのだ。
 株価は平成15年以降,バブル経済崩壊後の低迷から,順調に右肩上がりで伸び続けていたが,昨年はアメリカの低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に絡むアメリカ経済の減速や日本では姉歯元建築士設計偽装に端を発した,建築基準法の改正に伴う住宅着工戸数の激減が響いての低迷と言われている。
 パキスタンのブット元首相の暗殺でアジア,中東の政情に対する不安が高まり,東証一部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も,前日終値比24.26ポイント安の1475.68となったと記されている。
 東京外為替市場の円相場が1ドル=113円台と円高が進んだ事も,市場を冷え込ませる要因となったとあるし,日経新聞見出しにも,この大納会の大幅安は,東京証券取引所の株式時価総額は年初から,2000以上の下落となり,この一年間で60兆円も減った事になると言う。そして昨年末の取引は不安要素を残したまま終わった,はたして今年の株価はどう推移するのか,その行方が気になるところである。

東証大納会2007年(平成19年)の建設株終値と近年の終値

会社名
19年
2007
17年
2005
16年
2004
15年
2003
14年
2002
12年
2000
ハザマ
100
360
226
241
17
47
東急建設
430
250
257
530
54
?
長谷工
193
455
204
188
48
36
新井組
60
273
191
140
67
?
飛鳥建設
41
190
157
96
22
47
大末建設
63
141
116
83
27
40
三井住友
142
781
110
82
佐田建設
101
183
114
85
41
?
イチケン
257
378
242
97
48
?
東洋建設
81
222
99
77
42
?
日成ビルト
101
240
196
87
89
?

  スーパーゼネコンの動向を記して見た。
  2007年(19年)の株高順に近年分も記す。

会社名
19年
2007
17年
2005
16年
2004
15年
2003
14年
2002
13年
2001
12年
2000
大林組
562 869 646 479 264 372
492
清水建設
488 867 514 408 297 444
338
鹿島
365 678 414 348 265 356
317
大成建設
302 535 399 392 189 284
229
※この表から見ると平成14年が一番悪かったのがよく分かる。

2007年年間の高・安値表
会社名
始値
最高値 最安値 終値
大林組 775 852
466
562
清水建設 598 820
421
488
鹿島 524 662
291
365
大成建設 365 481
274
302

主な(注目他)の銀行株の動き(19年・終値)
会社名 (平成19年)
2007年
(平成17年)
2005年
(平成16年)
2004年
(平成15年)
2003年
(平成14年)
2002年
みずほHD
5340
9360
5160
3250
1110
(東京三菱)
三菱東京UFJ
(UFJ)
1047

16000
10400

6210
8360

5150
6450

1200
三井住友
8370
12500
7450
5710
3710
愛知
9530
14300
8430
6360
6240
札幌北洋
9960
10800
7700
5820
5400
池田
4010
6300
5450
5500
5400
清水
5030
6000
5300
5130
5200
武蔵野
5310
6560
4400
4200
3850
りそなHD
2010
4750
208
135
千葉
910

989

685

439


都民
3180
4600
     
岩手
6540
8120
     
東京スター

3510

3910

     
北日本
4080
6320
     
大分
703
950
     
※前年度との比較は出来ないが,比較的下落の傾向にあるのがよく分かる。

 東証評判(他)の株を拾って見た。

会社名
19年
2007
17年
2005
16年
2004
15年
2003
14年
2002
13年
2001
12年
2000
NTT
5590 5360 4600 5170 4310 4270 8230
NTTドコモ
1860 1800 1890 2430 2190 15400 19700
JR東日本
9220 8110 5700 5050 5890 6330 6700
JR東海
9530 11300 8370 9260 7390 8480 7030
オービック
20660 25980 20350 21560 20650 26000 23590
任天堂
66500 14290 12780 10060 11050 22700 18250
OLC(デイズニー)
6740 6430 7120 6610 7190 9010 7650
東宝
2525 2640 1619 1364 1139 14180  
日本テレビ
14990 18130 15390 15930 17700 27910  
ヤフー
50000 1790          
トヨタ
6040 6120          
日産自動車
1230 1195          
第一三共
3440 2275          
JAL
255            
ANA
413            
  特に特出している株には,情報・通信欄が凄い。評判欄に記した,オービック・任天堂・ヤフーの他に,多額のものを記して見た。


会社名
19年(2007)(終値)
フエイス
13,650
シンプレクス
44,000
フューチャー
59,500
CYBOZE
40,650
Sブレーン
11,640
スカパーJ
43,600
インプレス
15,920

 以上が,情報・通信欄の10,000以上を記して見たが,凄い値であり,時代が生んだ異端児と言えそうである。

 我が業界では,昨年6月20日の建築基準法により,仕事が激減し,後半はかつてない状況となった。特にプレカット工場など,月の仕事が6割?7割減と言う会社もあって,大変な状況になっている。大手ゼネコンは,今までの仕事の継続でしのいでいるが,これからの受注状況により,木材業界にも影響は大変大きく,予断を許さないだろう。

平成20年1月3日記

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