東京木材問屋協同組合


文苑 随想

見たり,聞いたり,探ったり No.94

新年明けまして お目出度うございます。

大分県,九重,日本一の「夢の大吊橋」見聞記

青木行雄
 大分県九重町と言う所に昨年(平成18年)10月30日,堂々と開通した「夢の大吊橋」が,猿や狸が出そうな田舎も田舎の山村に20億円もかけて無事に完成した,この吊り橋の実行責任者の方々にまず敬意を表したい。
 最初の計画は年間入場者数30万人,10年かけて元が取れればとの計画だったと言う大吊橋だが,建設中から完成後も,テレビ,ラジオ,新聞,雑誌に取り上げられ,あっと言う間に「日本一吊り橋(歩道橋)」がたちまち有名になってしまった。
 11月の連休を利用して帰郷し,見学に行って見たが,大変驚いた。何と何と,休日には,2〜3時間待ちは結構あると言う。今回はこの近くに宿泊したので30分程の待ちで渡れたが,4〜50分程の往復で帰りには1時間30分以上も待たされてしまった。
 この大吊橋の長さは390m,歩道橋としてはやっぱり日本一である。そして,一番高い所の高さが173mで,これも日本一の高さであるらしい。橋に足を踏み入れるなり,かなりの揺れが感じられた。慣れれば大丈夫と思うが,殆どの人が,手摺りを利用していた。かなりの高所であり,揺れるし,景観も大変素晴らしいので,キャーキャーワァーワァーと歓声が絶えない。混雑のため早く歩けないので,行き390m,往復780mを40〜50分掛かったが,初めての人は,大変感動する場所である。同時に橋の上に乗れる人数は最大1,800人と言う。しかし,今日は1,000人位に制限している,と係が言っていた。「今日も18,000人位来るでしょう」との話であった。大変な入場者である。
※満員の大吊橋上、凄い人数です。
 帰りに管理事務所に立ち寄り,現況を聞いたら,昨年の10月に開業して約1年で,260万人の入場者との話で,カウント表示もしてあった。10年で300万人の見込みが約1年半で達成間近とは驚きではないか。
 総工費20億円掛かったと言われるが,260万人の観客で,ざ?と計算しても1年で13億円となり,2年も経たない内に元が取れる事になる。そして駐車場の増設に追われており,道幅が狭い為に拡張工事も間に合わず,この小さな村は,今てんやわんやの状況である。
 商品やグッズも売れ過ぎて,売上の何割かを町に寄付してくれるケースも多いとのことであった。
 大分合同新開社発行の可兒敦彦著の,「夢かけた四季彩のまち」を読んで見ると,この橋に夢をかけた人々の苦労がありありと目に浮かぶ様であった。
 今は一車線の道幅で,何キロも続く状況で物珍しさも重なり,しばらくは見学は多いと思うが,一段落すればどうなるか,不安もあると思う。しかし,この近くには見る所が一杯ある。大分は湯量は日本一であり,温泉も多く,また,あの飯田高原も近くにあり,観光地には事欠かない。
 この雄大な山々に囲まれた九重町には,古い歴史を持った温泉が数多く点在しており,温泉好きには堪えられない場所なのである。
 龍門温泉郷,寒の地獄,長者原温泉郷,湯坪温泉郷,筌の口温泉郷,筋温泉郷,宝泉寺温泉郷,川底温泉,壁湯温泉などあって,これらを総称して九重九湯と呼ばれていると言う。
※雄大な山々に囲まれた,この高原はあの有名な,黒澤明監督が率いた映画「乱」のロケ地で,仲代達矢を始め,スタッフ一行が,硫黄山のふもとに陣取り,時代衣装に身を固めた面々の壮大なロケ地がすぐ近くにある。
 この九重町の近隣には,由布院温泉がある。もちろん別府温泉もそう遠くはないし,観光地は事欠かない。この大吊橋から眺める景観は,冬場は霧や樹氷,春から夏にかけては新緑,晩秋には色鮮やかな紅葉,(今回はちょっと過ぎていたが)に周囲が包まれている。こんな環境の中の大吊橋である。
 今,中国,韓国からもかなりの観光客が来ていると言う。そう簡単には,息切れしないのでは,大方の見方の様である。関係者の苦労を考えると長続きして欲しいと願う私である。

     ※ 吊り橋に
           長い行列驚いた
               これが九重の夢の掛橋
     ※ 九重の
           夢の吊橋誰掛けた
               神の仕業か太閤さまよ
     ※ この田舎
           夢の吊橋20億
               よくも作った度胸の人よ

※チケットの裏面をそのまま記しました。

H19. 12. 9記

 

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