東京木材問屋協同組合


文苑 随想


『歴史探訪』(43)

江戸川木材工業株式会社
常務取締役 清水 太郎

 「苦策敗れた将門の」これは小中学生でも知っている,西暦939年,平将門の乱であります。平安時代,京都で宮廷文化が開花し,貴族に仕える武士の台頭が始まりました。
 清和天皇を祖とする清和源氏,恒武天皇を祖とする恒武平氏が全国で勢力を養い,虎視眈眈と時代の桧舞台へ登場する機会を狙っておりました。将門は恒武天皇の子孫で平氏の姓を授けられた高望王の三男,鎮守府将軍良将の子でありました。東国に広がった平氏一族の抗争に乗じて勢力を拡大し,独自に東国の天皇に即位した為,朝敵と見なされ,結局藤原秀郷,平貞盛らに討伐されました。
 将門は今の大手町に葬られましたが,周辺で天変地異が絶えず,時宗の遊行僧,真教上人が手厚く御霊を慰めて,1309年,今の神田明神に奉祀致しました。
 去る6月6日,高校時代の同窓会が神田明神で開催されました。何故かと申しますと,我々の年代は今年古稀を迎える者がほとんどで,そのお祓いを兼ねて同級生の大鳥居信史君が神田明神の宮司をされているというご縁で,盛大に宴を張ることになりました。
 神田明神は創建以来,東国の守り神として栄え,江戸時代以降は,日本の三大祭の一つとして神幸祭が毎年5月に執り行われます。
 明神下には野村胡堂原作「銭形平次捕物控」の舞台となった元台所町がありました。そんなご縁で,有志の作家が集まり,境内に銭形平次の碑が建てられました。台座は平次のトレードマーク,寛永通宝で,脇には子分の八五郎の碑もあります。
 毎年同窓会では学友が講師となって講演が開かれます。当日の出し物は,伝統ある神田明神とは対象的な,未来の日本を語る「日本を支える原子力エネルギー」と題して,東海村原子力燃料公社で活躍された山村修博士によって約1時間,高度なお話を分かり易くして頂きました。
 小生も木材産業に携わる者として環境問題には大いに関心があり,以下山村君の講演を咀嚼しながら,エネルギーをとりまく地球環境について検証致します。
 地球環境の汚染はイギリスで起った産業革命に端を発します。今日も世界のエネルギー需要は増える一方ですが資源は有限です。
 例えば,石油はあと41年,天然ガスは60年,石炭は133年で枯渇します。
 ウランは百年保ちますが,原子力発電の比率を高めることで,その他の火石燃料の消費を減らしCO2の排出を抑えることができます。京都議定書で取決めた我国の約束は,90年比で2012年のCO2排出を6%減らすということでした。しかし,現時点で既に6%増えていますので,麻生内閣は今後最低12%減を打ち出さねばならないと云っているのは当然の責務でありましょう。
 ところが,放射能漏れを防ぎ,使用済燃料の処理を万全にしないと,原子力は必ずしもクリーンなエネルギーとは云えないという両刃の剣でもあります。
 将来はどうなるのでしょうか。
 有限の資源を使い果たした後は,無限に再生産ができ,地球環境にもよい木材を,植林,伐採,使用,再植林することによって循環させて使用することは今後も続くことでしょう。エネルギー源は太陽光エネルギーの効率化と,水から水素を分離して燃焼させる燃料電池が主流になるのではないか。
 山村博士は,放射能を閉じ込める5重の壁によって300年間は万全であると仰っていましたが,熱は300年で冷えますが放射線による環境への負荷は1万年続きますので,これは考えるだけで気が遠くなります。人間の叡智で解決することが出来るのか私には分かりません。
 昔から「知らぬが仏」という諺がありますが,これは物を知れば知る程不安も増す,というパラドックスでしょうか。



エネルギー資源は有限である!
 



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