東京木材問屋協同組合


文苑 随想

東海、東南海、南海地震

榎戸 勇


 東海、東南海、南海は我が国の文化経済社会の大動脈で高速道路や新幹線のルートである。もし、そこに東日本と同じ位の大地震、大津波が発生したら大変である。西日本大震災の方が東日本大震災よりはるかに大きな危険性があるのである。

 西日本の太平洋岸には南海トラフと呼ばれているやや浅い海溝があり、これに沿って西から南海地震、東南海地震、東海地震の震源域があって、100年程度の間隔で繰返し地震が発生している。これら3つの震源域は単独で地震を発生させていることが多いが、2つ、あるいは3つの震源域が連動して発生して非常に大きな被害が有ったこともあるという。3つが単独の場合はM8.0から8.4である。尚、東海地震はこれまで単独で発生したことは無く、全て東南海か南海地震に連動して起きているとのことである。また、3つが連動して同時に発生するとM8.8から9の大地震になる。震源域が南海トラフに沿って伊豆半島を越えて相模湾へ飛び、あるいは九州に近い日向灘迄拡大することも有り得るという。何とか連動せずにいて欲しいものである。

 最近、大阪市立大学や産業技術総合研究所が三重県の尾鷲市の海岸沿いにある海抜5mの大池で底に堆積している地層を採取して調べた結果、紀元前4世紀から紀元後18世紀の約2200年間に津波でできたとみられる堆積物の層が16有ったと発表した。このうちの7層は歴史記録が有る白鳳地震(684年)と年代が一致している。そしてその他の6つも未知の巨大地震の年代と合っているという。19世紀以降の地震も含めて発生間隔を見ると、1世紀以前の大昔は200年間隔、1〜5世紀は100年、5〜11世紀は200年、11世紀以降は150年間隔である。最近では昭和21年(1946)には土佐湾沖の震源域で発生した南海地震で高知市は大津波に遭遇している。それからすでに70年近くになるので、いずれ大地震と津波がくると思うので、防災設備だけでなく、いざという時の避難訓練を小学校、中学校で行い、家に帰ったら家族に話し、家族皆そして街の人達全てが、自治会の指導で避難訓練を年に1回はしたいものである。この時歩行困難の老人等や車椅子の人々の対策をして欲しい。

 最近、内閣府の有識者会議は駿河湾から四国、九州沖の海底に延びる南海トラフ沿いで想定される最大震源域を拡大した。東側は駿河湾のプレート境界線(陸のプレートが北米プレートからユーラシアプレートに変る)から内陸部の富士川河口断層帯の北端まで、西側は日向灘から更に南西方向へ拡大した。

 最近神奈川県鎌倉市は高さ14.4mの津波に襲われるかも知れぬという津波浸水予測図の作成を始めた。本年3月の完成を目指している。鎌倉は特殊な地形である。三方を山に囲まれ、海側は江の島海水浴場の遠浅の海岸である。遠浅だと津波は海上へ大きく膨れ上がる。そして三方が山に囲まれているため、三陸海岸のリアス式海岸と同様に津波が集中して襲いかかる。最悪の条件である。もしこのような事になれば鎌倉の市街はほとんど壊滅してしまうかも知れない。
 以上の事態は万一南方から押し寄せるフィリピンプレートがやや東にずれて相模湾に迄影響した場合で、この場合は相模湾沿岸は2m乃至3mの津波、東京湾岸も1m位の津波が来るかも知れない。平常から万一の場合を考えて家族で話し合い、どこへ避難するかを決めておく必要があろう。

 また、話は変わるが平常から家具をしっかり留めて倒れないようにしておく必要がある。家具が倒れて怪我をすると避難が困難になってしまう。
 何としても日常からの準備が大切なことを書いてみた次第である。
 私は地震や津波については全くの素人で、3・11の東日本大震災以降、本や新聞記事で学んだだけの知識しかないが、お仕事が忙しくて本を読む暇が無かった方のご参考に拙文を書いた次第である。

以上
平成24年1月5日 記
 

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