東京木材問屋協同組合


文苑 随想

見たり,聞いたり,探ったり No.146

「日本の木と森を考える」 シンポジウムの開催について
青木行雄
※吉野の山林を見学した時の写真である。この山はきれいに手入が出来ていた。
 

 平成24年2月17〜18日、全市連主催の木材アドバイザーの養成講習会が、木材・合板博物館1階会議室で早稲田大学教授、森川靖先生を始め、6人の先生方の熱心な講義が行われた。
内容は1日目、(1部)地球環境保全と森林・木材利用、(2部)世界の木材需給の動向と日本の木材需給見通し、(3部)木造建築@木造住宅を知るA木造住宅を科学する。2日目、(1部)木の基本的性質を学ぶ—木材の腐れ、狂いとその対策—木材の見分け方、(2部)森林と人との関わり、日本林業の動向と課題、(3部)テスト。まず分かった事は、長年この業界で勉強して来たつもりだったが、分からない事ばかりで、自分自身が恥ずかしい思いをした事であった。自分は木材のプロであると思っていた事が、まるで反した事だと分かった。
 1日目の講義終了後軽食による懇親会が行われ、どんな顔ぶれが2日間の勉強を受けるのか大変関心があった。木材業界小規模企業者のせがれ、大企業の木材会社の各店舗の所長や工務店経営の社長、大手建設会社の社員もいた。いずれにしても、木に関心があって、将来に役立てたいと思っている人ばかりではないかと思う。
 「日本の木と森」についての現況を知り、又移り行く変化の早さも知る所である。勉強になる点が多く、まだまだいろんな事を勉強する必要があると実感した。
 他業界には昔から、いろんなアドバイザーと言う認定のプロ組織があって、自分の経営や仕事にプラスになったり、有利になるように業界で認めているケースも多い。我々業界になぜ出来なかったのか、今頃出来るのもおかしい、と思いながら、遅くても作られた事に対して主催者に敬意を表したい所である。
 平成22年10月公共建築物木材利用促進法が施行され、木材を使おうという機運が高まってきた。一時割り箸さえ環境に悪いなどと言われた時期もあったが、ようやく木を使うことが一般社会で認められ世論が高まって来つつある。このように政府も今まで以上に木材利用推進に真剣に取り組み始めた。このような時期にこの全市連主催の「木材アドバイザー養成講座」は的を得て、すばらしい事だと思った。
 私の所属する「江戸城再建を目指す会」では「日本の木と森を考える」を題名に5月19日(土)東京木材問屋組合の7階ホールをお借りして大々的に開催したいと取り組んでいる所である。
 林野庁が今「日本の木と森」についていかに真剣に取り組んでいるかが伺えることは、我が会のこの「シンポジウム」に後援をすぐ許可して頂いた。森林のスペシャリスト林野庁次長沼田正俊氏がパネラーとして参加して頂き、他のパネラーの方々と我々聴衆者に意見を聞かせてくれる、大変貴重な会になるのではと今から期待している。
 木材会館を知らない人には、桧を中心に国産の木材が内装、構造に大量使用されているビルで「木材会館」7階ホールは見事な会場ですと言っている。「木材会館」7階ホールは最もふさわしい会場だと思う。
 又特別講演には俳優の滝田栄氏を迎える。滝田氏は東日本大震災被災地、気仙沼に「地蔵願王菩薩堂」を建立し、仏像(木彫)を彫り、納仏したいと懸命だ。その滝田氏の製作場所が信州でその仏像の本体の木に使われている木曽桧をおさめている人が、私の知人の南木曽木材産業の柴原氏である事が分かりびっくりしている。
 よく「江戸城の件」で聞かれる事がある。本当に出来るのか、又木造だと大変な量の木材がいる、そんな「木」が本当に日本にあるのか。木材の専門家の方からも良く聞かれる。
 紙面を借りて「江戸城再建を目指す会」について少々経過説明をしていきたい。
 会ではこれまで、江戸城再建を目指し各界・各層に向けた「草の根運動」を続け、再建計画の周知と、再建運動の拡大に努めてきた今年2月には、来年(2013年)中に「江戸城再建を目指す会」を「江戸城を再建する会」へと移行、そして2020年を目途に、天守再建の夢を実現させることを決議した。さらにこれまで「草の根」だった運動を国民的な動きにしていくために今後は賛同署名運動の立ち上げを予定している。現在の会員数は2,300人だが平成24年の目標は3,000人、署名運動については初年度で5,000人と言う目標を立てており、拡大を続ける。

※江戸城天守台、350年前のものである。明暦の大火後、天守の再建の為建設した台座である。

 さて、この日本を動かすであろう大きなムーブメントを担う会員の役目は、まさしくこの「江戸城再建」の運動を多くの人に知らせる事にある。そのため、会は、この会に関わる人々の信条として、「一人でも多くの仲間を増やすために会の使命と目的を説明できる“案内人”に徹しよう」という事を掲げている。
 「江戸城再建を目指す会」の会員には総会をはじめ、講演会・街歩きなどの各種イベントの案内があり、さまざまな場面で、江戸城再建と言う同じ夢に向かう会員同士の交流を重ねこれからも続けていく。
 初めての方にどんな城を目指しているのかを端的に説明したい。
 目標は「寛永度天守」である。
 今は石台だけが残る江戸城跡に一体どんな天守を建てるのか…。この点に興味を持たれる方も多いと思う。この会では、この復元天守は江戸城「寛永度天守」と決めている。
 徳川家康のもとで、慶長12年(1607年)に江戸城天守は一度完成するが、その後度重なる火災や修復を経て、寛永15年(1638年)に5層6階の巨大な天守が完成する。絵図から考えても史上最大、技術的にも最高と思われる巨大な天守だったようだ。その大きさは姫路城の3倍、大阪城の4倍もあったという。
 しかし明暦3年(1657年)の明暦の大火で江戸城の天守は焼失し、これ以後、天守が建てられることはなかった。会では、東京都立中央図書館にたった1枚所蔵されている「寛永度天守 建地割図」をもとに広島大学の三浦正幸教授に監修をお願いし、復元計画と、復元予想図となるCG画像の作成を行った。今回のシンポジウムにも三浦教授がパネラーとして参加頂いている。
 この復元事業を目指すにあたり会では、伝統的な工法による「木造」の天守と決めた。(大阪城、名古屋城の天守はコンクリートであるが)日本の象徴としての天守閣には、日本の長い歴史のなかで培われた木造技術を用い、江戸城天守再建事業を、日本の木造建築技術の伝承の場として活用したい、という考えである。
 木造建築による天守再建にあたっては、膨大な「木」が必要になる。その「木」は果たして日本にあるのか、当然それが一番に考える必要がある。江戸時代に再建された、「東大寺」あの巨大な仏像の入る建物になると、かなり大きな木材が必要になった。1本の柱が1m以上、何百本必要だったかはよく分からないが、20cm〜30cmの角材を束ねて鉄板でまいている所が多く見られる。東大寺の柱はほとんどがそうだ。こんな方法もあるとすれば、十分木はある事になる。そんな事も考える必要があるのではと思う。

「日本の木と森を考える」
シンポジウム開催日 24年5月19日(土)午後1:00
 会場 新木場駅前「木材会館」7階ホール
 主催 認定NPO法人「江戸城再建を目指す会」
 理事長 小竹直隆
 シンポジウム実行委員長 青木行雄
 事務局 神田神保町2−20 ワカヤギビル402号
     電話 03-6423-1882 FAX 03-6423-1897

 今回のこのシンポジウム開催について、いろんな方にお願いしお世話になり、ありがとうございました。又、お願いもしましたが私の説明不足や誤解もあってご理解頂けなかった方もおられました。私の不徳とするところで紙面をお借りし、厚くお詫び申し上げます。
 この「日本の木と森を考える」のシンポジウムに是非参加頂き、今日本の抱えている木と森の問題点を皆で考え、大きく言えば日本の将来を日本の木、森林がすばらしい、国作りに少しでも役立てば幸である。

平成24年4月1日 記


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