東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第13回)

東日本大震災から1年 苦悩と希望

(株)コバリン 奥澤 康文
http://www.kobarin.co.jp


【最近気になるフレーズ】
 「日本はもう終わった?」 最近の国内外の雑誌、マスコミ等で頻繁に見受けられる。目障りな表現だが負けるわけには行かない。一方、中国のGDP(国内総生産)は、1990年代末には日本の30%程度であったが、2010年に日本を抜いた。日本の1人当たりのGDPは、2000年に世界第3位だったが、2008年には23位に低下。1990年に第1位だった国際競争力も、2008年に22位まで下がっている。更なる低下が心配される。又、2月25日の新聞で日本人大学生の学力低下が大きく報道された。即ち、大学生の25%は、数学の「平均」の概念を理解できない状態であり、ゆとり教育の弊害が顕著になってきたという。勿論、日本の強みもあるが、急拡大する弱みに覆い尽くされようとしている。


【相次ぐ破綻】
2月下旬、AIJ投資顧問の2000億円の年金消失問題は、根深く深刻な波紋を呼んでいる。又、2月27日「日本のメモリーを守る国策会社」と言われたエルピーダメモリが、会社更生法を申請。負債総額は約4480億円と製造業では過去最大。国策半導体は、市況悪化と韓国勢に後れをとり頓挫した。日本の半導体メーカーは、1980年代に世界で約80%のシェアを握っていた。

ミッフィー(オランダ)とアンパンマン(日本)。アニメ(漫画)やJ-Pops(日本の歌)が海外でCool Japan(かっこいい日本)と評判だ。サンリオ(ハローキティ)がスゴイ!
日本の企業力 第4部「サバイバル」(『日経』)産業構造の激変を痛感。
 
2月25日 電気崖っぷちの苦闘(巨大家電)
2月26日 ハイブリッドに死角
(大手自動車)
2月27日 新たな稼ぎ手 世界へ(サンリオ
2月29日 再生に奇策なし(JAL)

【元気だった頃の日本】
 私の最初の海外体験は、1975年(西ドイツ)と1984年(米国)。当時は絶頂期で、現地の人達から時折、「羨望・妬み」の言葉を聞いた。実はその時既に米国では、将来の日本は英国や米国が辿った同じ凋落の工程を辿ることが予見されていた。しかし、残念ながらその時の杞憂が俄かに現実となり愕然とする。


【不況下でも高収益の製紙、段ボール業界】
 『日経』(2月21日)、来年(2013年)3月期に高収益(予想経常利益)を予測する企業が出ていた。木材に卑近な業界では、王子製紙梶i816億円)とレンゴー梶i376億円)である。レンゴー鰍ヘ過去10年が増収増益であり注目に値する。13年前、他の大手板紙会社を吸収合併し、最近でも値上げが100%浸透。長年の構造不況と群雄割拠の時代が終焉し、安定期になった結果と思われる。


【昭和30年代の生活】2月26日(日)さいたま市立博物館の特別展示
昭和30年代の食卓。丸いちゃぶ台と古い箪笥(タンス)類が懐かしい。小学生だった。 貧しかったけど、日本全体に元気が溢れていた時代。木材と自然素材がいっぱい。


【深川東京モダン館で気分転換】
門前仲町の路地裏にある公民館だが、これが意外に興味深い。宣伝をしてないため知名度は低いが、木の町深川の歴史や文化を感じさせる。息づく伝統の中に、江戸時代の日本人の知恵や工夫を発見する。
2月4日(土)午後。コマ作りの名人(85歳?)が材木の端切れでの製作現場を見せてくれた。 こんなものもありました。名人にかかると何でもできてしまう。手先の器用さに感動。


【生態学者の宮脇 昭博士(84歳)の植林活動】
 2月26日(日)のテレビ。世界中38ヶ国で4000万本以上の植林活動を実践してきた有名な偉い方です。大震災後の被災地に入り、膨大な量の木材のガレキに土壌を混ぜて植林をする構想、即ち、森林を防波堤とすることを提唱している。松類は景観にはいいが、根が浅く防潮堤の機能は劣る。鎮守の森を手本に、その土地に元々生育する樹種がいいらしい。妙案と思うが、障害は法律で「ガレキ類は埋設してはならない」との制限があるので残念だ。


【東京スカイツリーの展望】5月22日 に開業予定。高さは634m。
2月下旬。ホテルイースト21東京(東陽町)。
 心地よい晴天で、肉眼では紺碧の空に映えた。下を見ると怖いが、目を上げれば爽快。
もうすぐ完工だ。東京タワーより約300m高く、地表より気温が約4℃低い。
2月12日東京ゲートブリッジが開通。スカイツリーとの経済相乗効果が期待される。


【芸人コロッケの人生を支えた母の一言】 
 3月2日夜のテレビ「中居正広の金曜日のスマたちへ」。熊本県生まれで「お笑いものまね王」の彼は現在52歳、被災地への慰問も行っている。彼の激動の半生記が紹介された。幼い頃両親が離婚し、お母さんが看護助手をしながら、極貧の中で2人(姉と彼)を育てた。中耳炎になったが、お金が無くて病院に行けず放置した為、中学以来右耳が聞こえない。お母さんが作った当時の壁掛け「家訓」がユニーク。子供だけでなく大人の心にも静かに訴えかけるものがある。

  「あ」せるな。「お」こるな。「い」ばるな。「く」さるな。「ま」けるな。


【高校の東京同窓会役員会】3月7日(水)午後8時。銀座の居酒屋。会費3000円。
会議後の夕食。30〜80歳位の交流会。景気、大震災、住宅、自然素材、ゴルフ、生き方等を語り合う。
60代で年金暮らしの人もいれば、
80歳で生涯現役もいる。
どんな時代でも人の輪が原点。
老いも若きももうひと頑張り。
自分、家族、会社、社会の為…。
夢と希望が「老春」を駆け巡る。


【横丁のB級グルメの旅】モスバーガー門前仲町店
2月25日(土)昼。曇り時々小雨。前日の暖かさ(16℃)から、真冬の寒さ(4℃)に逆戻り。近所のモスで昼食。週末にはよく行きます。
チーズバーガー、ポテト(大)、コーヒーのセットで780円。少し高いけど、マックよりは美味いとの評判。コーヒーも上等。
モスには60代のオバちゃんも働いているので、実は私も入りやすいのです。


【少しでも良くなってもらいたい】
 各地で大震災1周年慰霊式典が行われた。岩手県の三陸海岸の荒涼とした被災地に、悄然と佇む老人の言葉が胸に沁みた。「人間の作ったものはみんな壊れたけど、自然はそのままだ。」 経済では、日経平均が一時10,000円台を7ヶ月ぶりに回復し、為替も81円/$まで戻ってきた。海外では、ロシアのプーチン氏が大統領に復帰し、米国、中国でもトップが交代する。
 最後に、丁度1年前の「午後2:46の衝撃」を回想しながら書き終えた。1周年追悼式典が東京の国立劇場で開催され、言葉にならないほど重いものを感じた。流れた歳月を空虚に感じることもある。でも、自分のできることからやろうと思う。情報通信メディアも日進月歩であり勉強を続けたい。今年は辰年で、「昇龍」の勢いを感じたい。


2012年3月11日(日) 記

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