東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第33回)

世界の環境問題 自動車と木材

(株)コバリン 奥澤 康文
http://www.kobarin.co.jp


【高校同窓会 講演会】 10月26日(土)11:00〜14:00 ホテル グランドパレス。同級生の小野田君が講演する事になり参加。テーマは、『世界の環境問題と自動車の行方』。我々の木材や住宅建設業界とは無関係に思えるが、実は共通している事も多々ありいい勉強になった。紙面の関係で割愛した話題も多く残念。自動車産業は日本経済を牽引する業界であり、品質管理、コスト、イノベーション意識には敬服する。見習うべき点は、配布資料、多彩なスライド、説得力等。


【薄皮1枚に託された人類の生存】
地球の直径は約13,000km、大気圏の厚さは約10km。我々は薄皮1枚の空間で生涯を送る。人類の歴史も生物の歴史も全てこの薄皮1枚の中で起きる。
この薄皮の中に色々なものを排出すれば、環境に深刻な影響が出るのは当然。化石資源を大切に使用しながら、地球環境問題と共存してゆく事が大切だ。
左は小野田元伸氏(日本ピストンリング(株)技監、工学博士、今年6月迄同社の常勤監査役として活躍。)


【世界の自動車保有と販売状況】
1970年:2.5億台。1990年代前半に6億台を突破、2010年には10億の大台に到達。人口1,000人当たり141台で、7人に1人普及。1位は米国(2億4,000万台)、2位は中国(1億台で更に急伸中)、3位は日本7,925万台。以下、ドイツ、イタリア、ロシア、フランス、イギリス、ブラジル、メキシコが世界のベスト10。
自動車普及率は人口100人中、米国(77.3台)、日本(62.5台)、中国(7.8台)。



【自動車を取り巻く環境と課題】 

化石燃料の枯渇や地球温暖化防止等の課題に対し「全方位」展開で次世代エコカーの開発を推進中。車の基本性能「走る、曲がる、止まる」は今後も普遍であるが、究極の将来のエネルギーがまだ見えてこないのが現状。

「エネルギー対応」、「CO2削減」、「大気汚染防止」が課題。将来の燃料は地球環境に優しい「再生可能なエネルギー」への転換で、在来型の石油はいずれ枯渇する。次世代クリーンエネルギーの可能性の1つに、「バイオ燃料」(エタノール)がある。
今迄の石油消費量は約1兆バレル。又、残存予測量(確認埋蔵量)は、1兆2,000億バレル(1バレル=159リットル)例えで、富士山の体積(1,400万立方キロ)で計ると「8分の1杯」しかない。琵琶湖だと7杯分。これを多いと思うか、少ないと思うかは別として、このままの消費で約40年で枯渇してしまう。
バイオ燃料は多種多様で地域性が有る。一部を除き殆どの場合、食物と競合する。日本の現状は、エタノール生産は未だテストプラント程度であり、サトウキビ、多収穫米、廃木材、稲藁等のセルロース系を広く検討中。
米国の年間生産穀物を100%エタノールに使っても、米国の全自動車の16%しかならない。世界には9億台の車を持てる裕福な(?)人と、飢えに苦しむ20億人の人がいる。
水不足問題はさらに深刻で、1トンの穀物を生産するのに100トンの水が必要。既に欧州では、ミネラルウォターの方が、石油・バイオ燃料より割高となっている。
地球環境にやさしいと強調して、バイオ燃料増産を奨励するあまり、一方では地球環境破壊が深く進行している。南米アマゾンの熱帯雨林が毎年、東京都の何倍もの広さで消失している。
低価格車:例)インドのタタ自動車『ナノ』日本円で約28万円。エアコンとパワーウインドはなし。ワイパー1本、ドアミラーは運転席側のみ、と徹底したコストダウン仕様だ。
自動車の今後の動向は、既存技術の改良からハイブリッドに、最終的には究極のエコカーに進んで行くと推定。水素と電気の活用がポイント。取り組むべきテーマは、代替燃料と効率化による燃費改善である。


【電気自動車普及への課題】 日本の電気自動車保有台数:2006年:612台、2012年:4,938台と急速な伸びを示すも、約5,000台では、試作レベルで商業ベースではない。コストの半分はリチウムイオン電池である。日本には資源が無く、現在は南米のチリから約80%の輸入に依存。又、炭酸リチウムの日本輸入価格は、2004年:¥252/kg , 2007年:¥746/kg の3倍に高騰。


【電気自動車普及への課題】
1) 航続距離(電池性能が不足)
2) 充電スタンドのインフラ整備(フル充電しても電気料金100〜200円程度)
3) 充電時間(急速充電でも30分→待ちきれない?)
4) コスト値段:三菱 i – MIEV (軽自動車で460万円)
左は、熱心に聞き入る同窓達(30代〜80代)
製品1台当たりの「リチウム使用量」は、携帯電話:0.3g , ノートパソコン:5.5g 。プラグインハイブリッド車:3.1kg  ,電気自動車:5.7kg 。自動車のリチウム電池が本格的に採用された時は、桁外れのリチウムが必要となる。
リチウムの世界市場は、2009年が250億円、2014年が2兆2,500億円と90倍に増大する事が予想。
右図の様なパワーポイントが大活躍。

【持続可能な移動社会】 (Sustainable Mobility)(= サスティナブル・モビリティ)

環境破壊や生態系の基本的価値を犠牲にすることなく、自由に移動・交易をし、社会の必要性を満たす持続可能な移動社会のこと。

化石燃料の消費が少なく、CO2の排出が少ないモビリティが必要である。それ故、車両の小型・軽量化やエンジンの低燃費化等、多くの取組が行われている。

【燃料電池車への取組】

大手メーカーが2015年から、市場投入を目指しているが、問題・課題は多い。やはり、主流は白金で、1台当たり80〜100gの白金を触媒として使用。白金の現在価格は、¥4,500/gとして、45万円/台かかることになる。非常にコスト高になる。

【講演終了後、最上階のレストランで】

身近な自動車のことで、コーヒーを飲みながら話がはずんだ。環境には皆関心がある。

現時点での総合的には、プラグインハイブリッド(PHV)が次世代自動車の最有力候補との事。
夢のような話だが、「走れば走るほど空気がきれいになる車」、「事故を起こさない車」、「自動運転カー(ロボカー)」等を目指した開発も行われている。
小野田君は、右から3人目。特許も多数取得、各種の受賞や業界の専門委員等を歴任。


【期待の木材利用促進ニュース】 (日刊木材新聞社の記事より)
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我々の林業業界でもエコ・環境活動が活発になっている。10月29日、『木材利用ポイントPR大使』を務める人気の若い女性グループ『乃木坂46』のメンバー代表6人が、林芳正農林水産大臣を表敬訪問した。

A

又、10月31日、日本初の木造大規模商業施設の『サウスウッド』が横浜市の港北ニュータウンにオープンした。竹中工務店が開発した耐火集成材「燃ウッド」を2〜4階に使用。延べ床面積10,874m2、地下1階、地上4階建。(1時間耐火)

B

埼玉大学教育学部D棟(さいたま市)で木造校舎を建設。木造平屋建て(延床1,414.51m2、45分準耐火)柱は埼玉県秩父産の杉を使用した集成材37.5m2。その他多量の木材を使用。

【高校同窓会 講演会】 11月8日、昭和演歌の歌姫、巨星堕つ。享年75歳。S30年、『この世の花』で鮮烈デビュー。多くの名ヒット曲を重ね、中高年のファンは多かった。彼女のあの独特な少し悲しみを帯びたような澄んだ高音の声に、不思議な魅力を感じていた。『からたち日記』や『東京だョおっ母さん』を愛唱した。華やかな舞台での反面、私生活では壮絶な波乱万丈の人生で、正に『人生いろいろ』だった。数年前、誕生日(3月30日)が偶然同じであることを知り、陰ながら応援をしていたので本当に残念です。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


2013年11月10日(日) 記

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