東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第39回)

映画『アナと雪の女王』と『WOOD JOB!』

(株)コバリン 奥澤 康文
http://www.kobarin.co.jp


【ディズニー映画 アナと雪の女王】 4月20日(日)午後、評判通りの美しい映像と歌声がマッチし素晴らしく、少し無理して英語版で見ました。主題歌「Let it go」(ありのままで:日本語歌)松たか子やMay J. 、神田沙也加等が歌っているが、いずれも美声で何度聞いても感動と余韻が残る。個人的には、May J. がいいなと思う。やはり、ディズニーの影響力はすごい。日本でも観客総動員数が1,000万人を超え、興行収入は空前の170億円以上との事。世界では過去最高に接近中。
 又、5月3日(土)晩、テレビ朝日のバラエティ番組「関ジャニの仕分け∞」で、2年間で26連勝中のMay J.がオーストラリア出身のサラ・オレイン(27歳)に機械判定で惜敗。(96.132対95.491) May J.(25歳)は過重なストレス下、彼女は、「自分の持ち歌で負けたのは悔しいが、売れない時は歌を止めようとした事もあったのを思い出し、仕切り直しで新たな成長につなげたい。今の環境や応援に感謝しています」との事。両人の迫力ある美声の競演で感動的な結末だった。


【林業の映画 WOOD JOB !】 5月8日(木)午後、「木で、未来をつくろう! 総括会議」(霞ヶ関:イイノホール)の最後に、『WOOD JOB!』の試写会に参加。5月10日から東宝系でロードショーされる。林業の映画は非常に珍しく、国内外でも初めてだろう? 約40年前の1970年代の半ば、大学時代に林業研修(日本及び西ドイツ)を経験した私としては、当時の体験や共感から喜怒哀楽の郷愁と感動を新たにした。林業に興味のない人でも十分楽しめる映画だと思う。

《補足》直木賞作家、三浦しをんさんの人気小説『神去なあなあ日常』を、『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』でおなじみのヒットメーカー、矢口史靖監督が映画化した。出演は、染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明、優香など豪華で、公開前から話題を呼んでいた。

東京産木材を利用した面白い品々。
猫がかわいい!
木材をもっと積極活用しよう!
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 GPSを利用した森林管理にも注目した。日本の国土の森林率68.5%(*)だが、林業の世間での認知度は非常に低い。林農水大臣や多くの関係者が映画をPR中。沼田林野庁長官が基調講演、「世界と我が国の森林の状況」を行った。即ち、木材利用ポイント事業で、全国47都道府県縦断シンポジウムとして挙行され、前例の無い強力な体制だ。(*:世界第3位、蓄積は約49億m2、毎年約1億m2成長・増加している。)
 続いて、トークショーは、C.W.ニコル氏(作家、ナチュラリスト)と倉科カナさん(女優)との対談。その後、パネルディスカッションには、牧元幸司氏(林野庁林政部長)、齋藤敏氏(齋藤木材工業渇長)、北川原温氏(建築家、東京芸大教授)、高橋万里恵氏(TOKYO FMパーソナリティ)、涌井雅之氏(司会)(造園家、東京都市大学教授)の豪華な顔ぶれで積極的な発言がなされた。
 ニコル氏は、自然環境分野では傑出した方であり、自然の中での生活が人間を健康にすると力説した。私の学生時代の同級生で、岩手県立大学教授のK君がニコル氏とは20年来の親交があること、又、K君の大学院時代に、沼田氏(現長官)との交友があった事を知り、世間の狭さを改めて感じた。
 終始飽きさせないプログラムで、あっという間に半日が過ぎた。非常に有益な内容であった。都会に就職した若年労働者(35歳以下)が山里に少しずつ戻り始めているという。主演の染谷将太(21歳)は、江東区深川2中の出身であり、地元では久し振りに明るい話題になっている。

 


【異業種交流会 50年後の深川・木場は?】 4月26日(土)、11:30〜16:00。深川東天紅で昼食後、深川東京モダン館の会議室で林業の勉強会をした。抑々は、新潟大学教授の阿波村先生が、H26年3月退官で東京へ戻ることになり、慰労を兼ねて知り合いに声をかけたところ即数人が集まった。1年半前、阿波村先生には、「木材・自然素材」の件で、当社の小柳常務と一緒にご挨拶にお伺いして以来であった。又、こうした小さな会議も、いわば、深川・木場版の『WOOD JOB!』だと思う。

左から、今井先生、阿波村先生、大谷さん。 今井先生が先端技術で地域づくりをサポート。

●昼食後、GPS活用の権威である今井先生が最先端技術で、「地域づくりGIS」として、ICT技術による地域資源活用の話をされた。資料配布とプロジェクターを利用して難しいことを分り易く説明して戴いた。今井先生の幅広い活動範囲には敬服する。ただ驚くばかり。尚、今井先生は、元東京大学特任教授。現在は(有)ジー・リサーチの社長であり、地域力創造アドバイザー(総務省)、東京大学空間情報科学研究センター及び島根県中山地域研究センターの客員研究員を兼務。最先端技術を楽々と駆使し、気さくなお人柄で多岐に亘り活躍中である。地域の活性化にも貢献されており、「50年後を目指した計画と行動」が必要と力説された。尚、配布資料の見出しは以下の通り。内容は田舎の地域づくりだが、都会での仕事の進め方や問題解決の手法に応用できることを学んだ。


1.地図を使った地域づくり
 ・地域資源活用に向けた2つの分析法
 ・地域づくりの実現に向けたICTの役割
 ・まず、課題の認識と共有
 ・交流:地域資源活用の第一歩
2.地域資源を活かす方法
 ・写真から地域資源を読み取る
 ・地域資源を活かす工夫
 ・例)食から考える地域資源の連環
3.交流活動の類型と設計
 ・参考)地域資源活用に対する仮説
 ・参考)交流に対する効果
4.活動成果にGISの活用による効果
5.石川県七尾市能登島長崎の活動
 ・交流の組み立てとサービス提供の進め方
 ・地域のこだわりを聞く 
 ・地域を歩き地域資源を記録
 (地元学の考え方を活用)
 ・地域資源の連鎖と全員の参加へ
 ・地元による初めての交流活動の組み立て
 ・前日、地元紙で取り上げてもらう
 ・交流活動の記録1月19日
 ・交流活動の新聞記事(1月20日)
 ・初めての交流活動の反応
6.この仕組みの特徴
7.地域資源の整理
 ・アマゾン方式の検討(6次産業の可能性)
8.地域資源の活用方法
 ・交流活動の展開
 ・防災分野への活用
 ・木の駅プロジェクト
 ・福祉分野への活用

●阿波村先生は、京都大学経済学部を卒業。メガバンクの国際部門の要職を歴任後、新潟大学の国際センター長(教授)に転身。海外経験が長く、英語・フランス語に堪能。40数年の経験談を簡潔に説明して戴いた。今井先生同様にGPSの活用にも言及された。先生は、4月以降は、都内の公益財団法人の客員研究員に転身。多彩な人脈と面倒見の良さ、旺盛な好奇心で今後の活躍が期待される。
●川侮ミ長((株)川崎商店)は、上級SEの経験を生かし、東京大学大槌イノベーション協創事業本部のPM(プロジェクト マネージャー)として活動事例を紹介。コラボや相乗効果が期待される。
●谷社長、大谷氏、龍澤氏、奥澤は、時間の都合で報告時間が少なかったが、ビッグデータの活用に絡ませ、GPSの活用による業務改善への可能性、企画書、プレゼン等多くの可能性を学んだ。
 

 

【切絵展:深川東京モダン館】 5月3日(土)午後、仕事帰りに立ち寄った。江戸時代・明治・大正・昭和の伝統建築や文化を残すことには意義がある。次頁は熱心に作業する、作者の馬場哲弥さん。切絵は、木材や自然素材との相性が実にいい。通常は、構想から完成まで1〜2ヶ月かかるが、馬場さんは、伝統的な文化財や街並みの消失に危機感を感じ、写真の利用でスピードを数倍上げた。いずれにしても馬場さんにしかできない美的な才能と根気のいる手作業だ。切絵の独特な味わいを感じた。

切絵は地元の昔の街並みや情緒を精緻に描写。素朴で深い味わいを感じさせるので素晴らしい。 会社を定年後に思い立って6年になるという。現役時代はエンジニア、目が良く、手先も器用だ。


 

【根津神社】 5月4日(日)午後、連休の中日に気晴らしに出かけた。ツツジの花は満開を過ぎ残念であったが、大勢の人混みの中で新緑の庭園を楽しむことができた。文京区根津にある神社で、「根津権現」とも呼ばれている。日本武尊(ヤマトタケル)が1900年近く前に創祀したと伝えられる古社で、東京十社の一社に数えられている。境内はツツジの名所として知られ、森鴎外、夏目漱石等の日本を代表する文豪が近辺に住居を構えていた。当日は心地よい運動になり、熟睡できた。私は深川の富岡八幡宮を気に入っているが、根津神社も好きになりました。

 
広大な敷地に大勢の観光客が訪れ、ツツジ植栽の面積は江戸時代は7,000坪、現在2,000坪に縮小。   所々にケヤキの大木が生い茂り、景観を和ませる。数十種、3,000株のツツジは流石に見応え十分だ。


■人間の体のDNAは、半分が海から、残り半分が森林からということを知った。海や森林で遊んでいると気分が落ち着くのは自然な状態なのだという。

2014年5月11日(日) 記

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