東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第51回)

都会のオアシス「六義園と旧古河庭園」

(株)コバリン 奥澤 康文
http://www.kobarin.co.jp


 5月10日(日)娘夫婦に「母の日」の昼食(※)をご馳走になった後、付近にある有名な庭園を散策した。久し振りの家族水入らずで、心身ともにリラックスできた。
(※:「小松庵総本家駒込本店」。おしゃれな雰囲気で、蕎麦、天ぷらが美味しい。)

 

【六義園】5代将軍・徳川綱吉の信任が厚かった川越藩主・柳沢吉保が、元禄15(西暦1702)年に築園した和歌の趣味を基調とする「回遊式築山泉水」の大名庭園です。当園は池を巡る園路を歩きながら移り変わる景色を楽しめる繊細で温和な日本庭園です。面積:87,809m2(=26,609坪)。
 江戸時代の大名庭園の中でも代表的なもので、明治時代に入って、三菱の創業者である岩崎弥太郎の別邸となった。その後、昭和13(1938)年に岩崎家より東京市(都)に寄付され、昭和28年(1953)に国の特別名勝に指定された貴重な文化財です。

 
■閑散とした入り口だが、中は貴重な都会のオアシス。
 

■風格あるしだれ桜の大木。次は満開時に来てみよう。

 園名の由来。中国の名は、中国の詩の分類法(詩の六義)にならった古今集の序にある和歌の分類の六体(そえ歌、かぞえ歌、なぞらえ歌、たとえ歌、ただごと歌、いわい唄)に由来したものです。柳沢吉保自身の撰した「六義園記」では、日本風に「むくさのその」と呼んでいましたが、現在では漢音読みで「六義」を「りくぎ」と読む習わしから、「りくぎえん」と読んでいるそうです。

 
■吹上茶屋の入り口。純日本的な質素な感じでいいね。
 

■吹上茶屋。遠くから眺めても気持ちが落ち着く。


■藤代峠。園内で一番高い築山で、標高35m。頂きは、「富士見山」と呼ばれ、そこから素晴らしい展望が開ける。頂上の木陰で小休止をしてくつろいだ。
  尚、「藤代峠」の名の由来は、紀州(現和歌山県)にある同名の峠から名付けられた。
■藤代峠以外の園内の名所は、以下の通り。つつじ茶屋。滝見茶屋。石柱。蓬莱島。蛛道(ささがにのみち)。渡月橋。妹山(いものやま)・背山(せのやま)。出汐湊(でしおのみなと)。内庭大門(ないていだいもん)。

 

【旧古河庭園】六義園を後にして、徒歩約15分の近距離にある。第一印象で、豪壮でおしゃれな建物、和様の庭、大正の息吹に触れる心地よい空間。面積:30,781m2(=9,328坪)武蔵野台地の斜面と低地という地形を活かし、北側の小高い丘には洋館を建て、斜面には洋風庭園、そして、低地には日本庭園を配したのが特徴。この土地は、明治の元勲・陸奥宗光の邸宅だったが、宗光の次男が古河財閥の養子になった時、古河家の所有となった。(当時の建物は現存せず。)

 
■バラ園の中から写真を撮る沢山の観光客。
  ■少し場所を替えて、これもいいね。

 現在の洋館と洋風庭園の設計者は、明治から大正にかけて、鹿鳴館、ニコライ堂、旧岩崎庭園等を手掛け、日本の建築界の発展に多大な貢献をした英国人建築家、ジョサイア・コンドル(1852〜1920年)。日本庭園の作庭者は、京都の庭師・植治こと小川治兵衛(1860〜1933年)で、洋風庭園にも勝るとも劣らない魅力的な名園を作り上げた。旧古河庭園は、大正初期の庭園の原型を留める貴重な存在であり、平成18(2006)年1月、「旧古河氏庭園」(文化財指定名称)として、国の名勝に指定された。

 
■「クリスチャン ディオール」。園内には、90種180株の見事なバラが咲き誇っていた。
  ■「サハラ‘98」。写真を沢山撮ったが、甲乙付け難い美の競演に感動し、暫し夢見心地となる。
 
■雪見灯籠。大きくて立派。落ち着いた雰囲気が漂う。   ■灯籠付近の逞しく、変形した樹木に人生を感じる。
 
■邸宅下の洋風庭園。バラが見事。次回は、人気の少ない時間帯に行き、自然を静かに鑑賞してみたい。
  ■アヤメ。(花ショウブ?)古河邸の窓際。この淡い紫色もいいね。心が洗われる思いだった。

 

 【出没! アド街ック天国】 5月23日(土)テレビ東京、午後9〜10時。「江戸情緒の下町散策清澄白河」長屋ランチ、倉庫カフェ、人気そば、シブい酒場、あさり丼、癒しの庭園。面白い番組で毎週見ている。昨秋、「門前仲町」が特集されたが、今回は、清澄庭園のある清澄白河のベスト20が特集され、とても興味深く面白かった。清澄庭園のそばにいながら、3年以上ご無沙汰だから今年はアヤメでも見に行こうかと思う。

参考資料:公益財団法人 東京都公園協会のパンフレット

 

2015年6月7日(日) 記

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