東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第54回)

森林の恵み 木材チップとリンゴ

(株)コバリン 奥澤 康文
http://www.kobarin.co.jp


【地域に貢献する木材チップ工場】 JR大宮駅から長野新幹線に乗車、約1時間で佐久平駅(軽井沢の次)に到着。駅周辺は年々発展し、都会的な街並みが拡がる。車で約10分(=約5km)、当社の小諸チップ工場(小諸市)に到着。期末棚卸の為、9月1日(火)朝、工場を訪問。近郊の伐採現場で発生する間伐材から製紙用に木材チップを生産、又、剥いだ樹皮も農業肥料用に有効利用している。地味で単純な生産工程であるが、間伐材をほぼ100%活用でき環境面での存在感は高い。

 

カラマツ等の間伐材。工場内で製紙用の木材チップに加工。比較的太く、樹齢は20〜50年。高品質のチップが生産され高級紙等に利用される。

 

針葉樹、広葉樹材の樹皮廃材。自然の有機肥料で、近隣の果樹園農家の土壌改善に役立つ。間伐材の100%有効利用は素材業の理想だ。

 

原木置き場裏手の胡桃(クルミ)の木。近くで見ると沢山の若いクルミの実が鈴なり。そろそろ、栗も実る。猛暑の後、急に、初秋を感じた。


 

工場傍の秋桜(コスモス)。これも初秋の代名詞。薄いピンクの花、爽やかで、きれい。高原の短い秋に、冬の足音が聞こえる。

【自然と共生する松井農園】 当社工場から車で約10分の所に、有名な松井農園がある。現松井社長は4代目で、長い歴史ある農園だ。近隣の農家では当社の樹皮廃材を土壌改良の為利用。病気に強くなり、美味しさを増進するという。高原の丘陵地帯にある広い畑には、ブルーベリー、リンゴ等の樹木、植物類が繁茂。園内には、リンゴ博物館、売店、釣り堀、バーベキュー等の楽しい憩いの場もある。週末や休日には、東京、関東圏、又、海外からの来場者も増加中との事。

 

広い松井農園。佐久平駅で新幹線を下車し、車で約20分。近隣の県や東京等からの観光バスでの利用者も多い。建物には木材が豊富に利用され気持ちが和む。


 

農園では様々な果物が売っている。特に、リンゴとブルーベリーが有名だ。長野県は、北海道、岩手につぐ第3位の森林県だが、果物の方も負けてはいない。

 

陽当りのよい斜面には約2,000本の木がある。多くの種類があり、収穫の時期は、8月〜11月。中に蜜を持つリンゴは、遅い時期になるという。


 

題は初恋。『まだあげそめし前髪の りんごのもとに 見えしとき 前にさしたる花ぐしの 花ある君と思いけり』(島崎藤村)

 

【最近気になるニュース】 出来事の多い一か月。猛暑一転、秋気来深、気分爽快。

イ) 安倍総理の戦後70年談話:8月14日。翌日の新聞に、日本語、英語で全文が掲載。
概して、肯定的な意見が多いようだ。時代背景や若い世代への配慮もされ、50年談話がある程度、中和されたのでは?どこの国もこの種の談話は出していない。将来の国益を俯瞰することも必要と感じた。
ロ) 老後破産:最近、NHK他で同様な番組が増えている。65歳の定年時点で、3,000万円の
預金があっても、夫婦で85〜90歳まで長生きすると、そうなる可能性が高いという。70歳以上まで働き、質素な生活で対応するしかないものか。予備軍にならない様に今から注意したい。
ハ) 国連事務総長:「抗日戦争勝利70年」(9月3日、北京)に、国連の事務総長が出席。日本は、常任理事国でもないのに、国連分担金700億円(第2位)とは実に驚きだ。
ニ) ホテルオークラ東京(本館)の閉館:2019年に新装オープンの為、閉館。和風で自然素材豊富な、素晴らしいインテリア類は、内外からの強い嘆願により残されるらしいが、楽しみだ。
ホ) 2020年東京五輪の新国立競技場&エンブレム問題:大変な紆余曲折の末、白紙撤回された。国際的な信用問題も有り、真剣に取り組んでもらいたい。情報化時代の光と影を感じた。
ヘ) 「木造」ビルで林業再生:『日経』の夕刊(8月31日)に、楽しみな記事を発見。もっと、ドンドンPR記事を載せて下さい。東京の街も、新木場の「木材会館」の様な和の雰囲気に包まれて欲しい。

 

2015年9月6(日) 記
 

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