東京木材問屋協同組合


文苑 随想
見たり,聞いたり,探ったり No.196

〜歴史探訪 一人旅〜
北海道新幹線(新青森〜新函館北斗)平成28年3月26日開業
青木行雄

 北海道と本州を結ぶ北海道新幹線が3月26日早朝、開業した。
 新函館北斗(北海道北斗市)から新青森(青森市)まで約1時間。東京から東北新幹線と直通で最短4時間2分で結んだ。新幹線開業で多くの人を呼び込み、主に観光客の利用が期待される。北海道を代表する都市は札幌だが、とりあえず北海道の玄関口となる新函館北斗は新たな観光ルート作りが始まった。

 この北海道新幹線の開通は距離的には新青森から新函館北斗までは約149kmだが、日本一の海底トンネル(青函トンネル)があり、長い長い歴史が重なる。
 整備計画の決定から約43年。着工から11年かかって、北海道に北海道新幹線(新青森〜新函館北斗)が開業までにこぎつけた。これから観光地としての北海道の魅力に磨きをかける好機と言える。4時間2分かかると言う東京とはまだやや遠い感じもするが、東北や北関東との結びつきはより強くなると思う。函館ではすでにホテルの増改築などが相次いでいると言う。ある銀行は首都圏と宮城から列車で道南を訪れる人が年13万人増え、136億円の経済波及効果があると試算している。函館を中心に広域的な観光ルート作りを進めて、観光客の滞在期間を延ばすことが経済効果を膨らますカギになるはずである。
 青函トンネルは、1954(昭和29)年に津軽海峡で1,430人の犠牲者を出した青函連絡船の「洞爺丸台風事故」をきっかけに1964(昭和39)年着工した。1988(昭和63)年3月青函トンネル開通に伴い連絡船は廃止されている。

 東北新幹線と直通運転し、最高時速(260キロ)は青函トンネル(54km)を含む82kmの区間は在来線の貨物列車と同じ線路を走るため、時速140キロになると言う。
 この北海道新幹線開業前は東京〜函館間は最速5時間22分かかり、仙台〜函館間は3時間50分かかっていた。函館〜新函館北斗の間は最速15分で結ばれる。
 北海道新幹線は整備新幹線5路線の一つで1973(昭和48)年に計画が決定して、整備新幹線の開業は昨年3月の北陸新幹線(長野〜金沢)以来となる。2030年今から14年先に札幌までの延伸を目指すことになっているようである。

 この寒冷地に向けた北海道新幹線の技術開発について少しふれてみたい。

―初めての在来線共用で安全対策強化など、海沿い寒冷地に応じた機能について―
 北海道新幹線は、新幹線として初めて在来線と線路を共用する。貨物列車とのすれ違いを考慮し、様々な安全対策装置の開発や設置が最大のテーマになったと言う。
 路線には、上り下り対向する列車の脱線や転覆、貨物コンテナの落下などにより新幹線に支障を検知すると、自動列車制御装置(ATC)によって自動的に停止させる限界支障報知装置を設置したと言う。ATCでは車両幅の広い新幹線用に1本増設し、3本となった線路(三線軌条)に合わせた機能も開発している。
 北海道と東北では気温差があって、雪質が違う。降積雪対策では水が凍るリスクに備えて、スプリンクラーで融雪する「散水消雪方式」は新青森駅付近一部のみに限定した。高架橋内の線路脇に雪をためる方式や、雪を下に落とす方式を中心にしたと言う。分岐点では氷塊を吹き飛ばすエアジェットを設置し、ポイントの凍結を防ぐスノーシェルターも多数設けたと言う。
 東北新幹線で実績のあるE5系車両をベースに開発したH5系車両の基本性能はE5系と変わらない。ただ、平成26年、27年の冬、走行試験を繰り返し実施して、ブレーキ機能や車両への着雪状況や地上設備の動作確認などデータ収集・解析を重ねて開業に万全を尽くしたと記されている。

 また、全ての車両に乗り心地を向上するためフルアクティブサスペンションと、車体傾斜装置(最大1.5度傾斜)、各席電源コンセントを装備している。バリアフリー(多目的室など)や、セキュリティー(対話型非常通報装置・防犯カメラ)にも配慮したと言う。
 青函トンネルでは蓄熱を防ぐ送風機に関しては高速走行による圧力に対応するため、高性能のものに交換した。青函トンネル内や海岸線に近い箇所では金属類をメッキ加工し、塩害による防錆対策を施していると言う。
 トンネル内微気圧による音や振動を抑制する覆い、緩衝工を多くのトンネル前後に設置した。高架の橋桁には鋼板を巻き落橋防止工を設置する。現場に合わせて、環境対策や耐震対策を進めたと言う。

 このように寒冷地に応じた技術が延々と開発され、年月をかけてやっと北海道の新函館北斗まで延伸したのである。そして札幌までの開業が2030年度の予定と言う。  やっぱり新幹線があるかないかで、観光客の誘致・集客促進に有利かは、北陸新幹線・金沢駅をみるとはっきりわかる。

出典:http://www.hakobura.jp/sinkansen/

参考資料
日本経済新聞社 3月26日、27日付
朝日新聞 3月26日、27日付

平成28年5月22日記


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