東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第60回)

東日本大震災から5年 そして今

(株)コバリン 奥澤 康文
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【東日本大震災の苦難は続く】 2011年3月11日(金)午後2時46分、突然の衝撃、恐怖の激震から早や5年。そして、今年の3月11日も5年前と同じ金曜日、全国各地で慰霊祭が行われた。私も会社事務所でその時刻に独り黙とうをした。当時の私は旧事務所で顧問税理士と打合せ中に遭遇、動転した姿がまるで昨日の様に蘇る。帰宅後、テレビ各局の報道番組で被災地の現況を見た。復興は少しずつ進展しているが、依然、難問山積し前途は多難だ。
 日本列島の真下を巨大なプレートの断層が走り、まるで地震の巣のようで身の毛がよだつ。太古より、無数の地震、火山噴火が繰り返されている。最近では、地球温暖化の影響とされる台風の巨大化、洪水、土砂崩れ、ゲリラ豪雨、竜巻、突風、等の自然災害が頻発し、不安が増大している。
 残念ながら、日本は世界有数の自然災害の多発国だが、山紫水明の国土、自然、森林が素晴らしい。古来、我々の祖先も度重なる災害に苦しんできたが、勤勉な努力、忍耐、工夫で克服(或いは順応)してきた。今年の日本列島は、前日まで春の暖気に包まれていたが、今日は冬が舞い戻ったような、曇り時々小雨舞う寒い天気に逆戻り。色々と考えさせられる一日であった。

【人口減少 日本消滅か?】 昨年10月実施の国勢調査速報値が発表され、日本の総人口が5年前の調査時に比較し約95万人減少。大正9年(1920年)の国勢調査開始以来、初の人口減少となった。東京にいるとピンとこないが、長期的には深刻な問題である事が改めて認識され危機感が浮上。
 このまま推移すれば、200年後の人口は1,400万人、300年後には450万人以下になるとの試算もある。今の時点で、そんな先の事を考えている人はいないだろうが、減少の過程で、様々な社会や経済の混乱、弊害が生じるという。働き手不足で、治安、防災、国防が弱体化するのは明らかだ。
 過去の人口は、江戸時代から明治初期までは、約3,000万人で横ばいであったと言う。当時、自然災害による旱魃や飢饉、無医療、疫病の蔓延もあり、庶民の平均寿命は50才程度か?人口が横ばいで安定していたのは出生率が高かったせいだろう。既に、地方では過疎化が深刻で、一方都会では、保育所不足が深刻で出産を躊躇する人が多いという。又、経済的に困窮しその日暮らしの高齢者が増加し、医療も受けられないマスコミ報道が増えるのを目にして、決して他人事ではない気がする。

【老後破産の危機?】 3月12日(土)午前8時、サタデープラス(TBS)で、経済評論家の森永卓郎氏が警鐘を鳴らした。最近、他の局でもこの種の暗い話題が多いが現実的なので興味深い。森永氏の言葉よりも彼の細くなった体形変化には驚いた。宣伝中のライザップの減量プログラムで、体重を相当減量(30キロ?)。さて、30代の独身女子が、65から86才迄の生活費は、今から7万円/月を貯金しないと破産すると言う。従って、65才までに、2,640万円の準備が必要。

国民年金受取額  54,000円 / 月×12ヶ月×21年=1,360万円
老後の必要資金  4,000万円 - 1,360万円=2,640万円

【母校廃校の真相を発見!】 明治34年(1901年)に開校し、明治45年に廃校したが、この謎が同窓会で諸先輩に聞いても不明だった。しかし、或る日偶然、理由は「大洪水」だったことが判明した。即ち、書籍(*)に依れば、「明治45年、群馬県立太田中学校館林分校(現館林高校)は、廃校の憂き目を見た。明治43年(1909年)8月館林邑楽地区を襲った大水害で、利根川の堤防が決壊し甚大な被害を受け、入校志願者が急速に減少した為。館林を含めて、この邑楽郡下の農村地帯は、低湿原地帯であり、当時は毎年のように水害に見舞われ、明治43年の被害は相当甚大であった。以下省略」
 想えば、半世紀前に他界した高齢の祖母の語り草の記憶と一致。正に、ピンポーン!一度廃校となると、再校は非常に困難で10年を要し、大正10年(1921年)に2度目の開校を果たした。又、インターネットで明治43年の大水害を検索した結果、関東一帯の中で館林、邑楽の被害が甚大であり、どっぷり水没した私の村の写真からその事実を確認し、久々に読書の妙味を感じた。又、この大洪水をよく調べると、その年は梅雨明けが遅い8月上旬、2つの台風が関東に上陸。排水が未整備な関東一帯が大きな沼のようになった。東京でも約150万人が被災したという。

≪*:『サムライ戦車隊長』(島田豊作著、光人社、p.25−27)、明治45年生、著者は私の隣村出身。母校のOBで陸軍士官学校を卒業後、終戦時には陸軍中佐、母校の社会科の先生で退官。≫


★東日本大震災から既に5年。悔しい現実だが、原発事故さえなかったら東北の復興が別なものになっていただろう。又、故郷の大洪水も100年経過すると完全に忘れられ風化してしまう。5年前の自分に比べ、季節の移ろいや体調の変化に敏感になってきた。間もなく桜の季節を迎え、庭先や野山が元気な花々と新緑で溢れる。テレビでも日本の良さをPRし、元気づける番組が増えている。目を世界へ向けると、日本は素晴らしく恵まれている点が多い。女子サッカー「なでしこJAPAN」には残念だったが、8月のリオ五輪も間近だから楽しみだ。見るぞ!

2016年3月13日(日) 記

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