東京木材問屋協同組合


文苑 随想

材木屋とエコ 環境 省エネ(第64回)

不思議な胡蝶蘭 命のバトン

(株)コバリン 奥澤 康文
http://www.kobarin.co.jp

 雨季の女王、あじさいの花も終わり夏本番を迎えたが、当社事務所の片隅に、真冬から半年も咲いている胡蝶蘭がある。通常は2〜3か月間と思っていたが、不思議な長い寿命に感心しながら、静かに慰められてきた。業務前の早朝に、時々、水をやる程度の世話しかしてこなかったが、今年は、1月下旬に最初の一輪が開花し、次々と咲き続け最後の蕾に至り、そして、まだ咲いている。いつまでかな・・・? と毎朝思いながら、白色の清楚な胡蝶蘭が、約半年間の優雅な姿を見せてくれたが、終に、7月15日(金)花がしおれ床に落ちた。

 ランについて調べてみた所、世界に700属以上15,000種、日本に75属230種があるという。その多くが美しく独特の形の花を咲かせるので、乱獲で絶滅危惧種もあるとの事。地球上の全植物の中で最も種類が多いと言う。数年前に戴いたものだが、来年も美しい姿を見せてくれると思うと楽しみだ。

我流で育てているので、見栄えはよくないが、
花びらは純白の雪の様でとてもきれい。

目を近づけると不思議な花びら内の構造がわかる。

 そんな折、当日の晩、都内の某所で元気な男の子が生まれた。昼間は関東の各所で雷雨による浸水もあったとの事だが、夕方には雨が上がり、しのぎやすい穏やかな夕刻を迎えた。花の金曜日、且つ、大安でもあり誠にめでたい事だと思った。その刹那、胡蝶蘭の花の命が、その男の子に引き継がれたような気がした。輪廻転生かな? 植物を育てるのは、育児に似ていると言われるが、経営管理にも似ている気がする。来春にまた、元気な芽が出るよう、早朝の水やりが密かな楽しみだ。

 都内でも毎年、大規模なランの展示会が行われているが、まだ見たことがない。1980年代、米国の加州に居住した当時、サンフランシスコ郊外の大型の植物園で、ランの展示を数回見たことがあり、その美しさ、不思議な魅力ある雰囲気に感動したことがある。自然、森林、植物好きの人なら一見の価値があると感じた。近年、街並みを見る度に、少しずつ木材の有効利用が進んでおり、嬉しく歓迎できる。来春には、東京でのランの展示会に行ってみたいと思っている。

更に目を近づけると、かわいいトラの顔が見えてくるよ。
「タイガーマスク」の様にカッコいいね。

花びらの裏面も、真っ白できれい。半年間、本当に
ご苦労様でした、と感謝の気持ちが湧いた。

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8月のリオ五輪まで秒読み

 今年の関東の水がめは、冬場の少雪と空梅雨、そして、台風の発生も少なく、ダムの底が見える異常な渇水状態で、厳しい夏を迎える。この雑誌が配布される頃は、リオ五輪の真最中だろう。日本人選手も精一杯頑張って欲しいし、次の東京五輪へ夢や希望をつなげてもらいたい。

2016年7月17日(日)記

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