2018.08.23

木のはなし

掘っ立て

 日本の伝統工法。地面に穴を掘り、充分に底を突き固めて石を置く。その上に柱を直接立てる工法のこと。沈下の具合を見極めながら工事を進め、特に屋根瓦を乗せたらしばらくはそのままにして、落ちついてから工事を再開する。今の建築基準法では許可にならないが、高度な技術が必要。古い神社仏閣は全てこれ。百年以上の古民家も相当の確率でこの工法である。

 

 掘っ立て小屋と言う言葉がイメージを悪くしているのだが、技術もない、工期もかけられない粗末な建物が多かったことも事実である。そこで粗製濫造を防ぐために建築基準法が定められ、木造住宅には土台が必要との法律が出来たものと思われる。それにより、相当な効果のあったこともまた事実である。しかし材木屋なら誰でも知っていることだが、木材は横に使うより縦に使う方が風化に強い。また布基礎のコンクリートは湿気を呼ぶ。(土台の腐れを防ぐため、丁寧な施工者は、昔はネコ※、今は土台パッキンを使用することが多い)それに比べて石は水分が残らず、そこに直接木口が触れているだけなので長期間腐らない。何百年もの歴史を持つ掘っ立て工法には優れた側面もあったのだ。        

※ネコ土台:換気口のかわりに基礎と土台の間に厚さ2mm程度の木片などを設けて、通風を可能とするもの

 

 仕方のないことだが、一律の規制で伝統工法が消えて行くのは残念に思う。今や掘っ立ての技術はほとんど残っていないのではないだろうか?

                       寄稿:煙

 

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